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鉄瓶が肉厚になり、保温効果が増すという先人の知恵
南部鉄器の急須に勘違いをしていた私は、当然のことながら「初めてのお茶」に今だありつけていない。
「まろやかで鉄分の溶け出たお湯」でお茶を淹れるためには「鉄瓶」が必要だ。
永く愛用する逸品だからこそ、私がこだわりたいポイントは「形」と「文様」。
急須を購入したメーカーである岩鋳さんのオンラインショップを拝見してみたものの、
現行で販売されている商品の中で、私の心をつかむ鉄瓶との出会いはなかった。
南部鉄器の代名詞と言えば、ボツボツしたあの「アラレ模様」。
あなたが想像する南部鉄器と言えばおそらくこの文様ではないだろうか。
アラレ模様を施すことにより鉄瓶が肉厚になり、保温効果が増すという先人の知恵が今も受け継がれている。
鉄はいったん溜め込んだ熱を簡単には逃さない性質を持っており、アルミなどに比べて約1.5倍の保温力を持つ。
試しに急須に熱湯を注いでみたところ、全体に熱が伝わり触れるとやけどしそうになるほどだ。
鉄器の急須で淹れたお茶がまずい訳がない。そう私は「熱いのが飲みたい」のだから。
狙う鉄瓶の文様は「アラレ」一本。
こんな例えで恐縮だが「肩掛けバッグ」のような「形」を理想に探してみる。
急須は新品で購入したが、鉄瓶は中古で探すことにした。
「THE NANBU TEKKI」ヴィンテージ感あふれる存在感
「南部鉄器 鉄瓶」でオークション検索してみると、745件がヒットした。
※このキーワードで検索した場合、まれに「ホーロー加工された急須」が表示される場合があるので注意が必要だ。
出品されている商品は実に多種多様。
セット化されたもの。縦長のもの。外側にデザインが施されたもの。「猫型の急須」なんてのもあるほどだ。
記念品として特注されたものだろう。団体名や個人名が入った鉄瓶も。実に多彩だ。
私は条件に見合う2つの商品をウォッチリストに追加して、予算の上限を設定した。
29入札の激闘に勝利し、我が家に到着した「鉄瓶」がこの子である。
親しみを込めて「ボスあられ」と命名することにした。
中古には新品にはない魅力ある。
ヴィンテージ感あふれる存在感、これぞ私が求めた「THE NANBU TEKKI」だ。
ふたを持つ部分のデザインは「まつぼっくり」になっている。
側面には「南部」「岩鋳」の文字列が刻まれ、その下には「鉄瓶を製作した伝統工芸士の名」が入っている。
名入りこそ「手作りで作られた鉄瓶の証」と言えるのではないだろうか。
ちなみにボスあられは「清末」氏の作品であることが分かった。
これぞブランドである。
「本格的に使い始める前に」の根拠
中古で手に入れた場合、確認して欲しい3つのポイントがある。
最大の確認事項は「漏れ」。
そして沸かしたお湯の「色」と「味」だ。
「漏れ」がある場合、メーカーで「うるしを焼付け直す」作業をするようだが、私の場合「半年」かかるという回答をメーカーから頂戴した。
これが本格的に使い始める前に。の根拠だ。
下記の画像をクリック頂くとメンテナンス動画が再生される。
この永久保存版動画は、新品で鉄瓶を購入されたあなたの一助にもなりえる。
新品購入後、何らかのメンテナンスが必要になった時に思い出して頂きたい動画だ。
ちなみに動画は記事と連動しており、鉄瓶メンテナンス編3部作と番外編の計4動画。
おまけとして鉄瓶用手ぬぐいの作り方まで網羅した。
【動画】1/4 南部鉄器 鉄瓶メンテナンス永久保存版 状態確認編
動画で使用した機材を紹介しよう。
集中メンテナンス時に使用しているグローブ
初めての湯沸しで用いた熱源は「炭火」だ。
「過去を焼き切る」というイメージで超強火で沸かすために選んだ熱源である。
炭火の火力を最大限に引き出すために私が用いたコンロがこれだ。
携帯性に優れ、組立はスタンドと本体をセットするだけと簡単。
バーベキューはもちろん、焚き火も可能。
ダッチオーブンでの調理にも最適なサイズで、コストパフォーマンスに優れたアイテムだと思う。
別売でコンロがすっぽりと収まり、バーベキューで併用したいテーブル。
ダッチオーブンなどを吊るす三脚も活用したい。
いずれも比較的安価で手に入れることが出来る。
現状を確認できたことで、打つべく対策が明確化された。
次回は内側と外側の集中メンテナンスを行っていく。
photo by Masahito Ichinose(Japan)