一之瀬公人(いちのせ まさひと)

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南部鉄器鉄瓶の歴史 岩手県が誇る伝統工芸品第一号

 04/27/2017   

南部鉄器はなぜ「南部」なのか

あなたは南部鉄器の歴史と誕生についてご存知だろうか。

そもそもなぜ「南部」なのか。である。

この最も基本的な問いにあなたは答えられるだろうか。

岩手県で製造される南部鉄器だが「岩手鉄器」と呼ばれることはない。

これはなぜだろう。

実は「藩制度」に関係がある。

答えを話す前にご理解頂きたいことがある。それが「産地」だ。

ひとえに「南部鉄器」と称されるわけだが、南部鉄器には2大産地があることはご存知だろうか。

盛岡市と奥州市(水沢区羽田町)。

南部鉄器が誕生した当時の盛岡市は「南部藩」に、奥州市は仙台の「伊達藩」に属していた。

この「南部藩」こそが「南部鉄器」と呼ばれる由縁である。

「南部」の疑問が解決されたところで、次の問いである。

なぜ盛岡市と奥州市で「鋳物製造」が発展したか。である。

理由は2つある。

1つ目は、政治家の後押しだ。

盛岡を統治していた歴代の藩主は、奇跡的にも聞こえるが茶道に造詣が深かかったという。

鉄瓶は「使いやすい湯釜」として、1750年頃に開発された「茶器」である。

茶道に精通した藩主だったからこそ、藩内の特産品として発展させることができたのであろう。

2つ目は、地理的な優位性だ。

当時の岩手県には、釜石鉱山、田老鉱山などから出土する岩鉄・鉄鋼石・砂鉄。

漆や川砂・粘土などの良質な材料に加え、燃料である木炭など資源に恵まれた地理的な優位があったのだ。

ちなみに、盛岡では茶の湯釜、鉄瓶を中心に発展する一方で、

奥州では早くから日用品としての鋳物が根づいていたという。

現在では盛岡及び奥州の両方をあわせて南部鉄器と総称されている。

400年もの歴史を刻み、日本の伝統工芸品第1号として認定された。

日本に存在する「鉄瓶の2大勢力図」

私たちは、鉄瓶=南部鉄器と思いがちだが、実は鉄瓶の2大勢力が存在することをご存知だろうか。

まずは、南部鉄瓶である。

主な特徴は、蓋が鉄製、蓋の持ち手が一体型、黒や茶の色合い。

そして、主に日常用として使用される。

もうひとつの勢力が、
京都・大阪・滋賀で製作られる関西地方の「京瓶」である。

主な特徴は、蓋が銅製、釜底に「鳴り金」、釜に取っ手をつけたような形。

日常だけでなく茶道のお点前としても使用される。

ちなみに、山形でも鉄瓶が製造されているがデザインや製法は異なるのだという。

別格な鉄瓶の秘密は「高純度の砂鉄」

とても希少な鉄瓶があるらしい。

その鉄瓶を叩くと「風鈴のような高く澄んだ音がする」というのだ。

原料は古銭である「寛永通宝」

古銭100%で鋳込みされた鉄瓶だ。

「寛永通宝」に含まれる「良質な砂鉄」は、鉄で作られた鉄瓶とは違う音色がするという。

砂鉄は素材自体が高価で、不純物が少なく硬い素材のため加工が難しい。

また密度が高く、水と接する表面積が大きいことから理想の鉄瓶なのだという。

私が見つけた1点モノは、500万円と恐ろしい価格だった。

古銭100%ではないものの「鉄に砂鉄を混ぜて作られた鉄瓶」も存在する。

こちらは中古なら手に入る価格帯だ。

出会いがあれば是非、音を楽しんでみたいと思う。

寄り道で南部鉄器の歴史に触れた。

次回は、鉄瓶の集中メンテナンスに入る。

photo by Masahito Ichinose(Japan)


プロフィール

一之瀬 公人

masahito ichinose

東京都江東区生まれ。現在は長野県南部在住。妻と息子の3人家族。

モノに対する好奇心が旺盛だったことから『MONO』で有名な雑誌の編集者となる。

広告代理店でクライアントのマーケティングを担当する。モーターショーやゲームショーのブース企画。Fからはじまるミントタブレットなど日本進出する外資企業の浸透戦略を担う。

夢だったニューヨークのクライスラービルを観るため渡米。(ゴジラとアルマゲドンで壊された)

アメリカ・カナダで働いたのち、ハトのマークのボディーソープで有名な外資系トイレタリー企業にヘッドハントされる。外資系ホテルを対象とした特殊部隊に所属。担当ホテルへの営業戦略、部隊全体のマーケティング戦略を担当。

先の経験を買われシティーホテルの支配人を任される。経営ノウハウを積みサラリーマンを卒業し独立。

これを期に、父の故郷である長野県に移住を決める。長野県で好きな地域は、松本市中心部と安曇野周辺。

結婚し長男を授かる。子育ての8割をこなし、厄年から脱却。第二の人生を本格的に歩み始める。

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