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過剰摂取に注意 健康被害を招く前に知って欲しいこと
お茶(緑茶)にはダイエット効果がある。
はたしてそれは本当なのか。
ここでは、
・お茶を知り、適度に飲用することが大事。
・適度な運動がお茶ダイエットを助ける。
とだけ申し上げておきたい。
ダイエットを成功させるためには、余分に蓄積された脂肪を燃焼させることが欠かせない。
そこで注目を集めた緑茶成分が、脂肪燃焼効果があるらしい『カテキン』である。
『高濃度のカテキン』を日常的に摂取することで、肝臓の脂質代謝が向上。脂肪はエネルギーに変わり、体脂肪を減少させる効果がある。
その一方で、
カテキンを摂取するとアドレナリンが分泌され、交感神経が強まり興奮状態に。結果として脂肪燃焼が活発になる。ともされ、
海外では高濃度茶カテキンによる肝機能障害報告が多数。販売中止に至った国まである。
ダイエット効果を語る前に『過剰摂取』によって、健康被害を招く恐れがあるから注意が必要なのだ。
この話はカテキンだけでは終わらない。
こちらもダイエット効果があるとされ、同じく緑茶に含まれる『カフェイン』。
脂肪燃焼効果を期待し、カテキンを多く摂取しようと飲むお茶の量が増えれば、当然カフェインの摂取量も多くなる。
目安は『成人1日あたり300mg』。この摂取量を超えると副作用を引き起こすことがあるのだ。
不眠症や下痢、イライラが増しストレスの原因に。カフェインの利尿作用により脱水症状を引き起こす危険さえある。
緑茶に含まれるカフェインは、一般的に『150mlで30mg程度』。単純に『緑茶1.5Lで摂取量を超えて』しまう計算だ。
この量は慣れれば意外と飲めてしまう。
肝機能障害が報告されているにも関わらず、毎日この量を摂取して本当に大丈夫なのだろうか。
そして、本当に『飲用するだけ』で効果は表れるのだろうか。
日本茶の製法は世界的にとても珍しい
話はガラリと変わり『日本茶の種類と栽培方法』について触れる。それはなぜか。
栽培方法を知ると、過剰摂取を予防するヒントにたどり着くことができるからだ。
日本茶とは国産で、一般的に緑茶を指す。
「緑茶」の製法は独特で、
生葉をすぐに「蒸して」「加熱する」。
この製法は世界的にとても珍しく、ほとんど国内生産に限られている。
なぜ「すぐ」なのか。
生葉は摘んだ直後から発酵が進むのだ。
生葉を摘み取る「チャの木」とは、ツバキ科ツバキ属の常緑樹。
このチャの木の生葉を、加熱し発酵を止めたものが
「不発酵茶」の「緑茶」。
いわゆる「発酵茶」は「紅茶」
「半発酵茶」が「ウーロン茶」
「後発酵茶」が「プーアル茶」
である。
「品種別の茶園面積:農林水産省調べ(平成26年) 」
上の表をご覧頂くと、圧倒的に「やぶきた」という品種が多いのがわかる。
もともと竹やぶだった茶園の北側に植えられていたことから「やぶきた」と呼ばれる。耐寒性に優れ、在来種よりも新茶収穫が早く量も安定した品種だ。
こうして、摘み取られた生葉は「飲用茶」に加工される。
「 生葉(なまは)」は「蒸され、揉まれ、乾燥され」て「荒茶(あらちゃ)」となり、
荒茶は「切断、分類」され「仕上茶(製茶)」となる。
仕上げ茶は「各産地でブレンド」され「飲用茶」として市場に出回る。
荒茶の分類は「本茶(芽茶)」と「出物(茎茶・粉茶・泥粉)」に分けられる。
肝心の栽培方法は、おおまかに「被覆(ひふく)栽培」と「通常栽培」に2分される。
「被覆栽培」は「日光をさえぎる」栽培法で、主に「玉露(ぎょくろ)」「かぶせ茶」「てん茶(抹茶)」で用いる栽培法だ。
【被覆(ひふく)栽培(おおい茶)】
●玉露
海苔に似た独特の香りと豊かな旨み。
●かぶせ茶
茶葉の色が濃く、旨みを多く含む。玉露よりも「被覆」が短い。
●てん茶(抹茶)
茶葉を揉まずに乾燥。抹茶の原料となる。
チャの木の根で生成される「テアニン」は、日光にさらされると「渋み」のもとである「カテキン」に変化する。
収穫の約2週間前から「日光をさえぎる」ことで「テアニン」が残り「旨みが増加」。そして「カテキン」が減少し「渋みが減少」するのだ。
何かに気づかれただろうか。
そう、被覆栽培された緑茶は『通常栽培に比べカテキンの量が少ない』のだ。
【通常栽培】
●煎茶
最もポピュラーなお茶。
●深蒸し煎茶
煎茶の倍の時間蒸すことにより、茶葉が細かくなり成分が溶け出しやすい。味や色が濃く出る。
●玉緑茶
丸まった茶葉が特徴。渋み少なくあじわいまろやか。
カテキン量が少ない緑茶の特徴が分かったところで、それぞれの価格に注目したい。
※価格は「仕上げ茶」ではなく「荒茶」の価格なので注意されたい。
「荒茶生産割合及び荒茶価格(平成26年)全国茶生産団体連合会調べ 1Kgあたりの価格」
玉露を含む中央から右側の3つが被覆で栽培された緑茶。
比較的カテキンが少なく、さらにコストパフォーマンスに優れているのが『かぶせ茶』であることがご理解頂けると思う。
水分を多く取る習慣は、むくみや便秘を予防することができる。
もし、あなたがダイエットを目的とせずに、一定量のお茶を飲む習慣を始めるなら『かぶせ茶』はオススメだ。
カテキンとカフェインの過剰摂取さえしなければ、緑茶はがん予防・老化を抑制できる理想的な機能食品であることに間違いはない。
あなたにも作れる「世界に1つだけのお茶」
では、緑茶のカフェイン量を減少させる方法はあるのだろうか。
ある。しかも家庭でそれはできる。
一番簡単な方法が「焙煎」。ただただ炒るだけでいい。ほうじ茶は緑茶を炒って作られているのだから。
・ほうじ茶のカテキンは緑茶の1/5程度。
・ほうじ茶のカフェインは緑茶の2/3程度。
・香り成分増加でリラックス効果。
なんだか良いことばかりではないか。
●ほうじ茶
煎茶・番茶・茎茶などを炒った(ほうじて)茶葉。香ばしくすっきり。
●玄米茶
玄米の香ばしい香りとすっきりした味わい。カフェインが少ないため幅広い年齢層で楽しめる。
如何だろう。ほうじ茶を手作りしたい気持ちになっただろうか。
【動画】手作り ほうじ茶
下の画像をクリックすると「手作り ほうじ茶」のメイキング動画が再生される。
あなたの参考になれば幸いだ。
【動画】焙煎 玄米茶
また、下の画像をクリックすると「焙煎 玄米茶」のメイキング動画が再生される。
「香ばし好き」のあなたの参考になれば幸いだ。
ちなみに、フライパンでも焙煎は可能だが、
焙烙(ほうろく)を使ってみては如何だろうか。
この焙烙は手ごろなサイズの陶器製で、2つの動画で焙煎に使用している。
焙煎後は取っ手の空洞から、保管容器に流し込めるスグレもの。
さらに、お茶を「焙煎すること」は「部屋の消臭」になる。ガスコンロと焙烙を気になる空間に持って行き、そこで「焙煎するだけ」だ。
「お茶の香り」が充満して、気になる臭いが消臭ができる。これは、是非とも試して頂きたい。
お茶とダイエットまとめ
高濃度茶カテキンによるダイエットの危険性について色々と書いたが、あなたはどう感じただろうか。
過剰摂取は危険であるし、お茶(緑茶)だけで、ダイエットの効果を期待するには無理があると感じたのではないだろうか。
・カテキンが少ない『かぶせ茶』。
・焙煎することでカフェインを減少。
・比較的温かい温度で飲用、
・体温上昇により新陳代謝を活発に、
・適度な運動で脂肪燃焼を促進。
・食前の飲用は食べすぎを抑える。
・食後の飲用は脂質と糖質の吸収を抑える。
次回はお茶に合う水と温度について考えてみたい。
photo&graph by Masahito Ichinose(Japan)