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お茶を淹れる水は「50mg/l 前後の軟水」で「中性」を選ぶべし
前回の記事で日本茶の種類について触れた。
今回はそのお茶の味を決定づける「水質」と「湯温」について詳しく触れたい。
この2つの要素は、美味しいお茶と密接に関係があるからだ。
ところで「お茶のうまさ」とは何か。
味けない話で恐縮だが、お茶から抽出される3大成分でおおよそ味が決まると言っても過言ではない。
「渋み成分」の「カテキン(タンニン)」
「旨み成分」の「テアニン」
「苦味成分」の「カフェイン」
端的に言うとお茶とは、この成分を楽しむための「飲み物」だと言える。
まずは「水質」。【水の硬さ】と【ph】の2つの要素に分けることができる。
おそらく【水の硬さ】と聞くと、あなたが思い浮かぶのは「軟水と硬水」だろう。
水中に含まれる 「カルシウム」と「マグネシウム」の量で「硬さ」は決まる。
一般的に「 ~100mg/l 未満」が「軟水」。「100mg/l 以上」が「硬水」だ。
硬水であればあるほど、
「カテキン(タンニン)」が反応し「渋み」が強くなり「旨み」が抽出されずらくなる。
さらに「カフェイン」とも反応し「苦味」が強く出てしまう。
その結果「香りの減少」と「濁り」が出てしまうから注意が必要だ。
では、どの程度の「軟水」を選ぶべきか。
目安は「30~120mg/l」の軟水。
ちなみに「30mg/l以下の軟水」ではお茶の香りが「物足りない」ものになってしまう。なんと繊細な飲み物だろう。
可能であれば「50mg/l前後の軟水」を選ぶことで、旨みを最大限に引き出せることだろう。
続いて【ph(ペーハー)】とは、 溶液中の水素イオン濃度の量を表している。
いわゆる
「酸性(弱酸性)」
「中性」
「アルカリ性(弱アルカリ性)」
のことだ。
ちなみに、
「ph6.0未満」を「酸性」
「ph8.0以上」を「アルカリ性」
と分別することができる。
中間の「ph6.0~8.0」までが「中性」とされるわけだが「水道水=中性」と言ってもよいのだろうか。
残念ながら答えは「No」である。
日本の水質基準では、pH 5.8~8.6(弱酸性~弱アルカリ)と定められているのだ。
それでは「ph」がお茶の味をどう変化させるのだろうか。
酸性の場合は、想像の通りで「味がすっぱく」なり「色が薄く」なってしまう。
アルカリ性であればあるほど「水色(すいしょく)が悪く」なり「苦味が強く」なってしまう。
このことから、お茶には中性の水をオススメしたい。
可能なら「中性で少し弱アルカリ寄り」の「ph7~8程度」がオススメだ。
この2つの「水質条件」をクリアできれば、あなたは苦味・渋み・旨みが程よく、水色の良いお茶を味わえるに違いない。
ちなみに、塩素の多い水・塩分の多い水は避けるべきでる。
良質で高価なお茶であればあるほど低温で
水質の次に重要なのが【湯温】だ。
以下の要点を参考にして頂きたい。
①旨み成分の「テアニン」は、40℃後半から抽出され、湯温が上がるほど濃くなる。
②渋み成分の「カテキン」は、60℃以上から抽出され、湯温が上がるほど濃くなる。
③苦味成分の「カフェイン」は、80℃以上から抽出され、湯温が上がるほど濃くなる。
④良質で高価なお茶(特に価格幅のある煎茶など)ほど、できるだけ低い温度で抽出すべきである。
美味しいお茶を淹れるためには、そのお茶の特性を知ることが大切。
一般的に美味しいとされるお茶を淹れるための「湯量」「茶葉量」「湯温」「抽出時間」を、代表的なものだけ紹介するので参考にされたい。
※上記の数字は「1人分」の分量である。
※この数値は「一煎目」の場合であって「二煎目」「三煎目」の場合は、条件が異なるのでご注意頂きたい。
実は究極の淹れかた。茶葉本来を味わうなら水で出せ
ところで、あなたは「水出し」でお茶を入れたことがあるだろうか。冷水(や氷)と冷蔵庫内で抽出したお茶のことだ。
きっと「麦茶なら」作ったことがあるのではないだろうか。
この「水出し」だが、水(低温)で淹れるメリットが意外に多いのはご存知だろうか。
「苦味・渋味」を抑え「うま味」を引き出しながら、低温特有の「甘み」も加味される。
「茶葉本来の姿」を味わいたいなら「水出し」は理想的な「淹れ方」なのだ。
目安として、100ml,3g, 15℃以下で3~6時間。が「煎茶で淹れる場合」のおおまかな「基準」になる。
この基準をもとにすると、最大6時間かかる冷茶。なんとか時短できる方法はないものだろうか。
【動画】水出し冷茶(芽茶・深蒸し茶・ほうじ茶)
下記の画像をクリックして頂くと、時短で冷茶を作る動画が再生されるので参考にされたい。
ちなみに動画で紹介した茶葉は「深蒸し茶:599円(税込)/100g」「芽茶:499円(税込)/100g」と、市販で安価に購入可能だ。
夏にぴったりの冷茶。
気分が爽快になること間違いなしだ。
動画で用いた温度計とはかりは、
両商品ともにとても使いやすく大変便利で個人的にオススメだ。
次回は「お茶の茶殻」に秘められた驚くべき効能について触れていきたいと思う。
photo&graph by Masahito Ichinose(Japan)