目次
遅くてイライラしていませんか あなたのパソコン早くなりますよ
前回、Windows 7 から10にアップグレードしたノートパソコンを、
HDDスタンドを用いて『初心者でも簡単に換装できるSSD換装手順』を紹介した。
今回は、不要になったリカバリディスク領域の削除・パーティション統合によるデータ領域の拡大。
そして、あまり知られていないSSDの弱点と、日常メンテナンスを行うツールに着目していく。
そもそもなぜ私が、SSD化をもくろみ、換装をしたのか。
大型アップデートにより『動作が重くなったから』である。
私が、パソコンというものに触れるきっかけとなった、最初のOSと言えば『Windows 95』だ。
それ以降、Macに手を出さなかった『生粋のWindowsユーザ』で、これからもきっとそれは変わらないと思う。
私は、歴代OSの中でも、Windows 7 が大好きである。
だが、その快適さとは裏腹に、毎回起こるWin7のアップデートの不具合で、少なからずストレスを抱えていた。
そしてついに、Win10に手を出した。
しかし『Windows 10 Fall Creators Update』以降、動作がとても重くなったのだ。
これが『SSD化』を決心した理由である。
フラッシュメモリという名の記録媒体
前置きとして、あまり良くご存知ない方のために書いておきたい。
SSDが世に登場する前、PCの作業を支えていたのが『CPU(処理する脳)』『HHD(記録媒体)』そして『メモリ(記憶領域)』だ。
メモリとは、今で言う『USBメモリやSD』のような存在で、HDDのように『駆動する』ものではない。
SSDとは『駆動しない』『メモリのようなHDD』と表現すれば分かりやすいだろうか。
MG→GB→TB。と、USBやSDの容量は、日進月歩に増加してる。
これが『フラッシュメモリ』と呼ばれる『記憶媒体』であり、『SSD』は、USBメモリ・SDと同等のメディアと言っても過言ではないだろう。
SSD換装することにより、駆動で遅延していたデータ処理を向上させ、より高速化を実現したのだ。
物理的な上限が寿命に直結してる
フラッシュメモリには、
『NOR型』『NAND型』がある。
NAND型は、HDD(ハードディスクドライブ)に代わる記憶媒体として開発されたものであり、
書き込みと消去が高速で行え、コストパフォーマンスに優れた特徴を持っている。
しかし、酸化膜の劣化により不良ブロックは発生する。
これを使用しないようにするために、SSD(NAND型)には、管理ロジックが組み込まれている。
これは、バイト単位の書き換えが得意でないことを意味しており、
NOR型とは異なり、不良ブロックの情報とデータ保障用のパリティを、保存するための冗長なデータエリアを持っている。
そのため、NAND型は仕組み上、書き込めるデータの量に物理的な上限があり、それが、SSDの寿命に直結している。
バッテリーのようにSSDの寿命を把握する
SSDには寿命とも言うべき『上限がある』と申し上げた。
それが『総書き込み量』と言うものだ。
「TBW」
(Total Byte Written)
これは事実上、SSDに書き込めるデータ量を示している。
『書き換え可能な量』であり『寿命を判断する目安』である。
前回、お伝えしたように『機械の寿命』は『ある意味、運』であり、
この『上限を迎える前の故障』はあり得るし『その容量を超えても現役』もありうる。
バッテリーのように、それを把握するすべはあるのだろうか。
私が、換装したSSD
Crucial Crucial SSD 2.5インチ MX300 525GB(3年保証)国内正規品
メーカーが公表している、TBWはと言うと、
『160TBW』
これは『総書き込み量の限界が、160TB』だということを意味している。
単純計算であるが、
1TB=1,024GB
160TB×1,024=163,840GB
となる。
電源投入回数:25回
総使用時間:27時間
総書き込み量:638GB
使い初めで、なぜこんなに書き込んだのかは定かではないが、
『1時間当たり、23.63GB』も書き込んでいて、働かせ過ぎである。
638GB÷27h=23.63GB
163,840GB÷23.63GB=6,934h
6,934h÷8h=867日
867日÷365=2.38年
この計算式は、『毎時23.63GBのデータを書き込んだ』場合『1日8時間稼働させたなら』ば『あと2.38年(867日)』で『書き込みの上限に達する』ことを意味している。
6ヶ月間使用しての変化がこれだ
SSDに換装して、おおよそ半年が過ぎた。現在の、使用状況はこんな感じだ。
ちなみに、寿命は、100%から1%減少し、99%になった。
SSDの健康状態をチェックする
電源投入回数:1,307回
総使用時間:1,028時間
総書き込み量:4,677GB
4,677GB÷1,028GB=4.55GB
使い始めの『23.63GB』よりも、1時間当たりの書き込み量は減少し、5分の1以下になった。
仮に『毎時4.55GBのデータを書き込んで』『1日8時間稼働させたなら』ばどうなるのか。
163,840GB-4,677GB=159,163GB
159,163GB÷4.55GB=34,981h
34,981h÷8h=4,373日
4,373日÷365=11.98
年如何だろう。
理論上では『あと約12年ももつ』。どう考えても驚異的だ。
すでに半年使っている訳だから、12年以上ももつ計算になるのだ。
空き領域を放置するとどんどん遅くなってしまう
Windowsユーザーが大好きな作業。
それが『デフラグ』ではないだろうか。
SSDは『書き込み量が増えれば増える』ほど『寿命は縮まる』ことはご理解頂けたはずだ。
デフラグは断片化しているデータ整理することで、データの読み込み効率を上げる作業だと言える。
SSDにデフラグは不要。という話をよく聞くが、
『Windows標準のデフラグは、SSDにあまり効果がない』という表現が適切かもしれない。
SSDの書き込みの仕組みは『ブロックごとに書き込む』。
しかも『ページ』単位で書き込まれ、データの消去はページをいくつか束ねた『ブロック』単位で実行される。
SSDがデータを書き込む場合、HDDのような上書きはできず、残っているデータを消去してからデータを書き込む必要があるのだ。
そして、ブロック内に、保存した別のデータがあると、それを一旦、別の場所に退避させてからそのブロック内の全データを消去する。
新しいデータを書き込む度に、
一旦別の場所にデータを退避→ブロック内の全データ消去→新しいデータの書き込み
このような手間が発生するために、データの書き込み速度はどんどん低下していくことになる。
放っておくと『空き領域』に不要なデータが混在してしまう。だから『空き領域を最適化するためのデフラグは必要』というわけだ。
『Defraggler』は、空き領域を指定してデフラグが可能。SSDにとって最適なデフラグソフトと言える。
SSDをデフラグする
HDD用設定であるならば SSDの寿命は3年縮じんでしまう
『SSD用の設定』とは何か。Windowsの設定。
実は『HDD用の設定のまま』なのをご存知だろうか。
せっかく、SSDに換装しても『HDD設定のまま』であるならば『3年も寿命が縮じんで』しまうことがあるという。
それを回避するため、SSD換装に成功されたらすぐに、設定を行い『SSD用設定』に最適化して欲しい。
WindowsをSSD用設定にする
下記の画像をクリック頂くと、動画が再生される。
Windows 10へのアップグレードにより、Windows 7のリカバリ領域が不要になった。
これを削除して、パーティションを統合する作業も紹介している。
あなたの参考になれば幸いだ。
【動画】4/5 リカバリ領域を削除・統合。断片化を解消する
・リカバリ領域削除
・未割当て領域統合
・断片化の解消
・空きディスクデフラグ
パーティションを整理する
断片化解消を解消する
Recuva
EaseUS Data RecoveryWizard
SSDが耐えられる温度は 70℃
冬の寒い時期でさえ、PC自体に熱を感じることがある。
気温の高い『夏の室内』であればなおさらだ。
CPU・HDDなど、発熱は電子機器全般に言えること。
そこで、HDDやSSDの耐熱温度とは一体どのくらいなのか。そんな話をしたい。
HDDは、ディスクの駆動により、熱を発生しやすい仕組みを持っており、SSDは、高速でのデータを処理するために、消費電力の増加に伴い発熱する。
SSDとて、発熱は避けられないのだ。
一般的に、動作時の温度の限界値は『HDD 50℃』『SSD 70℃』とされており、この温度を超える環境で、PCを酷使したならば故障を避けることはできないだろう。
SSDには『サーマルスロットリング』という安全装置が備わっている。
熱暴走を防ぎ、目安とされる 70℃を超えようとすると自動的に処理を遅くしてくれる仕組みだ。
だが、この機能に頼るだけではなく、どの程度の発熱状態かを、チェックする手段は持っていたい。
先ほど紹介した、CrystalDiskInfo は『温度管理』でも活用できる優れもの。
『温度』『稼働時間』『寿命』など、様々な要素もモニタリング出来る。
高温になる場合の対策
- ファンやPC内部に、ほこりが溜まっていないか
- ファンの排気口が、塞がれていないか
- SSDに負荷がかかる作業を、連続で行っていないか
過度な負荷に注意 機械も人間も気分転嫁が大事
負荷がかかる作業の連続は出来れば避けたい。
例えば、動画編集などの作業は、間隔を開けての作業をオススメする。
少し編集したら、軽度の違う作業に移る。気分転換にもなるし、PCへの負荷を軽減できるほか『動画を推敲できる』メリットもある。
特にノートパソコンは、省スペースに沢山の部品が組み込まれているのだから、当然、熱がこもりやすい。
市販のPCクーラーを導入するなど、積極的にクールダウン対策をしたい。
保冷材などを安易に使ってはならない。
精密機器なのだから。
少ない容量のディスクへのクローンは可能なのか
一連の『SSDクローン運用計画』は、大きな山場を迎える。
SSD故障時の対策。そして、使わなくなったHDDの有効活用を目的として、今度は真逆のプロセス。
SSDをHDDに丸ごとクローン。
そう『クローンバックアップ』体勢の構築だ。
しかし、そこには大きな壁が立ちはだかる。
HDDスタンドを用いる場合『クローン先のディスク容量は同等か同等以上』であることが、条件だからだ。
『500GB(HDD)→525GB(SSD)』
とクローンを作成した。
だが、HDDスタンドでは、この真逆のプロセスが実現できない。
×『525GB(SSD)→500GB(HHD)』
そして、それは『初心者でも可能なのか』という大きな大きな問題である。
下記の画像をクリック頂くと、動画が再生される。
動画の内容は、以下の通りだ。
【動画】5/5 SSDの寿命を延ばすソフト。容量の少ないディスクにクローニング
・容量の少ないSSDへクローン
・SSDの寿命を延ばすアプリ
小さい容量にクローンを作製する
復元ポイントの重要性
クローニングが完了した後、OSに不具合が発生することがある。
私の場合は、powermanagerに問題発生した。
フリーズして全く動かいない。
シャットダウンできない。
そして、強制終了もできない。
セーフモードにも切り替えれない。
こんな状態になると、頭が真っ白になってしまう。
だから、ソフトを使ってクローニングをする前に、復元ポイントを作成することを強くオススメする。
如何だっただろうか。
2記事・5つの動画で『SSD換装』について網羅してきた。
スペックの低い安価なPCでも『爆速』が体感できる『SSD化』。
動作が遅く、あなたがストレスを貯めているのなら、試してみてはいかがだろうか。
Eye catching image by Thomas Kvistholt(Denmark)